前回、『水分子のHF/3-21Gレベルの構造最適化』の計算が行えました。前にも書きましたが”構造最適化”とは簡単に言うと、入力された分子構造に対して分子の結合角や、結合長を含めた安定な構造を求める計算のことです。構造最適化計算を行うことで水分子の様々な情報が得られます。
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今回は、得られた様々な情報から水分子の結合長、結合角をまずは計測してみましょう。
 

1)計算結果を3Dモデルで表示させよう

1) 前回の計算で出力されたファイルは、次の4つのファイルです。 特に、の拡張子 “.gam” 通称アウトプットファイルが一番重要なファイルになります。 (通常Fireflyは、計算結果を拡張子 “.out” で出力させるのですがMoCalc2012では拡張子 “.gam” で出力します。)
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 2) MoCalc2012を起動し、起動画面(メイン画面)の「FIREFLY」ボタンを押します。Firfly用の設定画面が表示されたら、アウトプット(Output)ファイルである「MolView.gam」を設定画面にドラックアンドドロップします。

3) 青点線「Results」欄のボタンがアクティブになり、操作できるようになったことを確認してください。今回は、MoCalc2012を終了していたのでこの様な操作を行いますが、通常は計算が終了すると直ちに「Results」ボタンが操作可能になります。

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 4) 「Results」の「Structure」ボタン をクリックします。しばらく待つと、インターネットブラウザが立ち上がり水分子の3D構造が表示されます(※特に初回はブラウザの起動(読み込み)に時間がかかります)。

5) 最初に表示されるのは計算前の構造なので、画面を右クリックしサブメニューから「model7/7」→「1.7:7」にチェックを入れると構造最適化後の構造が表示されます(※ここの7/7や17:7といった数字は計算した化合物や初期構造、計算方法によって変わります。ここではとりあえず一番最後の数字(大きい数字)を選んでください)。
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結合長、結合角を計測してみよう

今度は、実際に計算した水分子の”構造の詳細”を見ていきましょう。ここではまず、結合長結合角の見方を覚えましょう。

1) 右クリックのサブメニューから、「Measurements」→「Click for distance measurement」を選ぶと結合距離を、「Click for angle measurement」を選ぶと結合角が表示できます。
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2) まず結合距離は図中の酸素原子(O1)をクリックして水素原子(H2もしくはH3)をクリックすると表示されます。0.97Åと表示されたはずです。次に結合角は、水素原子(H2もしくはH3)をクリックし、次に酸素原子(O1)そして最後にまだクリックしていない水素原子をクリック(最初にH2をクリックしたらH3をクリック)すると表示されます。107.7°と表示されるはずです。
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これで、無事にHF/3-21Gレベルの構造最適化で得られた水分子の『結合長』と『結合角』が得られました。
ここで、”結合角がおかしくないか?”とお気づきになった方もいるかもしれません。実験で得られる水分子の結合長は0.96Åと実際の値を概ね再現しているんですが、結合角は104.5°と3°程度のズレがあります。
これは前回、『”理論”と”基底関数”の選択が重要』だと書いたことに関係してきます。今回は、“理論”にHF(Hartree-Fock(ハートリーフォック法)を使用し、“基底関数”は3-21Gを使用しました。例えば、理論/基底関数を『B3LYP/6-31G*』に変えて計算すると、なんと結合角は103.6°と実際の値に近づくのです!!そこで、『そもそも”理論/基底関数”て何なの?いったい”どれ”を選べばいいのか?』が次に出て来る疑問だと思います。
 

おわりに

そういうことで、次回は”理論/基底関数”についてのお話です。また、ここでは結合長と結合角の結果を見ただけでしたが、実はアウトプットファイル(.gamファイル)にはもっとたくさんの情報が詰まっています(双極子モーメントや電荷、分子軌道etc.)。アウトプットファイルの詳しい見方や、結合長と結合角以外の計算結果の可視化についても今後順次紹介していきます。

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