クラウドサービスはDropboxGoogleドライブのようなデータ保存のためのストレージサービスが一般的ですが、高性能PCをクラウド上で貸し出すサービスもあります。
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Chem Compute」はクラウド上の高性能マシンでGAMESS(US)を実行するというスタイルで、ネット回線環境があればWebブラウザのみで量子化学計算が行えます。つまり、性能が非力なノートPCやスマートフォンでも実行可能です。

Chem Computeで何ができるの?

Chem Compute (https://chemcompute.org)は、ソノマ州立大学のPerriグループが管理しており、無料で利用できます。計算ソフトはGAMESS(US)TINKER(分子動力学パッケージ)に対応しており、計算はクラウド上で実行されるのでWebブラウザさえあれば誰でもすぐに計算化学環境が整うという訳です。

以前紹介したWebMOと同様のサービスですね。未登録ユーザー(ゲスト)は、1coreで4時間20分のCPU時間に制限されます。登録を行うと、研究者用アカウントで1coreで48時間、6coreで24時間、24coreで12時間に制限されます。
GAMESS(US)の導入は意外と面倒なので、とりあえず試したみたいという方には最適なサービスだと思います。

利用方法は?

赤枠で囲った部分をクリックしGAMESSのSubmit(設定画面)にします。一番左のSwitch toでモードを切り替えることができます。下記画像は、Studentモードです(Researcherモードはローカルで作成した入力ファイルをアップロードして実行する画面が表示されます)。
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2Dで計算したい化合物の構造を描いて、あとは計算方法を指定し「Submit Job」のボタンをクリックするだけです。

試しに水分子のB3LYP/6-31G(d)レベルの構造最適化計算をしてみましょう。計算の実行中は左図のようにJSmol画面上に「No data yet」と表示されます。計算が終了すると、構造最適化された分子の3Dモデルが表示されます。
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赤枠で囲ったボタンを操作することで、分子軌道IR, UVスペクトル熱力学的諸量双極子モーメントなどの表示が可能です。ちなみに、「Download Output File」ボタンをクリックすると出力ファイルをダウンロードできます。

おわりに

今回は、クラウド上でGAMESS(US)を簡単に実行できる「Chem Compute」について紹介しました。GAMESS(US)の導入が煩雑で、これまで使用を断念した方などには非常に良いサービスだと思います。また、外出先からスマホなどでも実行できるのは便利ですよね。

計算化学の分野では、手持ちのマシン性能で計算が困難な場合にローカル環境のみではなく外部ソースを利用することは良くあります。以外に知られていないのがスパコンが手頃な値段でレンタル可能なことです。FOCUSスパコンの場合、時間あたり数百円からレンタル可能です。また、購入すれば数百万円するGaussianも1時間100円程度でレンタルするサービスもあるので、興味がある方は、利用料金表(http://www.j-focus.or.jp/focus/fee.html)を覗いてみてください。

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