WindowsOSを必要とせず、macOS上でネイティブにWindowsのアプリケーション(exeファイル)を動かす方法があります!!一般的には、Boot CampParallels Desktopなどの仮想化ソフトウェアを使うのがベターですが、これらの方法はWindowsOSの導入が必要であり、費用手間がかかります。また、軽快に動かすにはそれなりのマシンパワーも必要です。
MacでWindowsアプリケーションを簡単に実行する方法
もう少し手軽に、そして無料でWindowsアプリケーションをmacOS上で動かしたいという方には、WineskinServerがおすすめです。 この記事では、M1/M2 MacやmacOS Catalina以降でもWindowsアプリケーション(32bit, 64bit両方をネイティブに動作可能なWineskinServer導入方法使い方について解説します。

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WineskinServerの導入方法

macOS Mojaveまでは、32bitと64bitのアプリケーション両方にOSが対応していましたが、Catalina以降は64bitのみの対応になりました。これにより、Windows API 実装を通じて、Windowsアプリケーションをネイティブ動作させるWineでも32bitWindows用アプリケーションが動作しなくなりました。

しかし、64bit環境でも32bitバイナリを実行可能なWineの改良版であるWineskinServerの登場により、これらの諸問題が解決しました。以下のリンクからWineskin WineryというWineskinServerの管理アプリケーションをダウンロードできます。

画像の名前を入れる

ダウンロードしたtxzファイルを解凍し、「Wineskin Winery.app」をApplicationフォルダなどに保存しましょう。これで、WineskinServerを利用する準備は完了です!!

なお、公式には、Homebrew(パッケージ管理ツール)によるインストールが推奨されています。上記の方法でインストールが上手くいかない場合は、次の方法を試してみてください。詳細を知りたい場合は、以下のGitHubリポジトリで確認できます。

GitHub:https://github.com/Gcenx/WineskinServer

Homebrewがインストールされていない場合は、以下のコマンドをターミナルから実行します。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
Homebrewがインストールできたら、以下のコマンドをターミナルから実行するとApplicationフォルダに「Wineskin Winery.app」というアプリケーションがインストールされます。
brew install --cask --no-quarantine gcenx/wine/unofficial-wineskin

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WineskinServerのセットアップ

Wineskin Winery.appをダブルクリックし、起動したホーム画面から、最新の環境(エンジンとラッパー)を導入します。初回起動時に、「開発元を検証できないため開けません」という警告が表示される場合は、Controlキーを押しながらアプリケーションアイコンをクリックして、ショートカットメニューから「開く」を選択してください。

[プラス]ボタン①をクリックすると、新たにインストールするエンジンを選択する画面が表示されます。最新のエンジンを選択してください。この記事では、執筆時点で最新の「WS11WineCX64Bit21.2.0」を選択し[Download and Install]ボタンをクリックしてインストールしました。
スクリーンショット 2023-03-10 17.23.36
次に[Update]ボタン②をクリックし、最新のラッパーのバージョンにアップデートします。これでセットアップは完了です。
[Create New Blank Wrapper]ボタン③をクリックすれば、macOS上で動作するWindowsアプリケーションの作成を開始できます。

WineskinServerの使い方

ホーム画面の[Create New Blank Wrapper]ボタンをクリックすると、以下のような画面が表示されます。作成するアプリケーション名を入力して、[OK]ボタンをクリックしましょう。ここでは、「MaSK」という32bitWindowsアプリケーションをmacOS上で動作させたいので、アプリケーション名を「MaSK」にしています。
スクリーンショット 2023-03-10 17.46.36
しばらく待つと、新たに作業完了のウインドウが表示されるので[view folder in Finder]ボタンをクリックし、作成されたアプリケーションを確認しましょう。ここでは、「MaSK.app」が作成されました。Controlキーを押しながらアプリケーションアイコンをクリックして、ショートカットメニューから「パッケージの内容を表示」を選択してください。
スクリーンショット 2023-03-10 17.54.29
表示されたフォルダの中から、「Wineskin.app」をダブルクリックすると、以下の画像のようなウインドウが表示されるので、[Install Software]ボタンをクリックします。
スクリーンショット 2023-03-10 17.56.40
新たにInstallerウインドウが表示されるので、インストールが必要な場合(インストーラーのexeファイル)は、[Choose Setup Executable]ボタンをクリックします。インストーラーを必要としない単一のアプリケーション(exeファイル)の場合は[Copy a folder inside]ボタンをクリックします。
スクリーンショット 2023-03-10 18.23.05
この記事で使用するMaSKというアプリケーションは、インストーラーを必要としない単一のアプリケーション版を導入するので、[Copy a folder inside]ボタンをクリックして「MaSK.exe」の存在するフォルダを選択します。確認画面が表示される場合は、内容を確認して[OK]ボタンをクリックします。

これで、すべての作業が終了しました。作成されたアプリケーション(ここでは「MaSK.app」)をダブルクリックするとWindowsアプリケーションがmacOS上で起動できます。MaSK.appを起動した様子は以下の通りです。
スクリーンショット 2023-03-10 18.13.42
以上が、WineskinServerを使ったWindowsアプリケーションをネイティブにmacOS上で実行させる方法です。一度、アプリケーションを作ってしまえば、次回からは、アプリケーションをダブルクリックして起動するだけです(ここでは「MaSK.app」)。

おわりに

今回は、WineskinServerの導入方法と使い方について解説しました。32bitのWindowsアプリケーションが使えないという理由で、MojaveからアップデートできなかったMacユーザーにとっては、非常にありがたいですね。古いアプリケーションでも、便利すぎて手放せないものて案外多いので助かります。

本ブログで紹介しているような量子化学計算に必要なソフトウェアは、Windows専用で古い32bitのものも多いので、Macユーザーにとっては一つの選択肢としてWineskinServerを導入しておくことをおすすめします。

ただし、すべてのWindowsアプリケーションが完全に動作するわけではないので注意が必要です。どうしても使用したいWindowsアプリケーションがある場合は、試してみる価値は十分あると思います。無料で利用できる非常に強力なツールなので、使用できるアプリケーションを見極めて上手く使っていきたいですね。

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