ある論文ではkJ/molで活性化自由エネルギーが記載されているのに、他の論文や自分で計算した値はkcal/molだったてことってよくありますよね。値を比較したり参考にしたいとき、これってけっこう面倒です。
ちなみにブログタイトルの 「 1 Hartree は 627.51 kcal/mol 」です。
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今回は、計算化学の分野でよく使われる単位換算と基本的な物理定数について紹介します。また、相互変換可能な単位換算ツールを作ったのでこのページをブックマークして是非、活用してください。

よく使われる単位換算(便利なツール)

ここでは、計算化学の分野で頻繁に使用する原子単位系の変換を可能にするツールを提供します。変換したい値を入力して、「Convert !!」ボタンをクリックすると、自動で単位換算した値が出力されます。

 Hartree
 kJ/mol
 kcal/mol
 eV


なお、換算係数は以下の値を用いてます。
1 Hartree ( au ) =2625.5 kJ/mol = 627.51 kcal/mol = 27.2116 eV

GAMESSなどの量子化学計算で得られるエネルギー値は、一般的にHartreeで出力されます。これまで紹介してきた活性化自由エネルギーなどは、実験値と比較するためにもkcal/molやkJ/molに変換する必要があるので活用してください。

なお、以前紹介したMaSKを使えば、Firefly(PC GAMESS)やGaussianのOutputファイルから全エネルギーと各熱力学的諸量をkcal/molに変換して抽出してくれるので便利です。


入力ファイルの作成に役立つ単位換算

GAMESSなどの量子化学計算パッケージでは、入力ファイルで温度(ケルビン)や、使用するメモリー量(メガワード)、計算のタイムリミット(分)などを指定する必要があります。これらは簡単な単位変換ですが、普段使いなれてる単位からソフトで要求される単位系に変換する際に意外と戸惑うものです。


1) 温度 ( K(ケルビン) ↔ ℃(摂氏) )
 K
 ℃


2) メモリー量 ( MW(メガワード) ↔ MB(メガバイト) ) ※) 1.0 GBは1000MB
 MW
 MB


3) 時間 ( 時間 ↔ 分 )
 Hour
 Minute


なお、GAMESSの場合、$SYSTEMグループ のTIMLIMで計算時間の上限(分)を、MWORDSでメモリー量(MW)を指定します。ここでのメモリー量は仮想アドレス空間の仮想メモリーを指します(詳しくは、この記事を参照してみてください)。また、温度の指定は、$FORCE グループのTEMP(1)で指定する必要があります。


よく使われる物理定数

計算化学の分野でよく使われる物理定数を、7つピックアップしてみました。各定数は、2014 CODATAの値を引用しています。ここにない物理定数を知りたい場合は、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の物理定数を検索できるページを利用してみてください。物理定数の他、先の換算係数についても最新の国際的な推奨値を知ることができます。

プランク定数 (h) = 6.626070040 x 10-34 J s
ボルツマン定数 (kB) = 1.38064852 x 10-23 J K-1
気体定数 (R) = 8.3144598 J mol-1 K-1
アボガドロ定数 (NA) = 6.022140857 x 1023 mol-1
光速度 (c) = 2.99792458 x 1010 cm s-1
ボーア半径 (ao) = 0.52917721067 Å (オングストローム)
電気素量 (e) = 1.6021766208 x 10-19 C (クーロン)

上記の物理定数を、一覧表に纏めてみました。是非、活用してください。

constant value
h (Planck's constant)       6.626070040 x 10-34 J s                    
kB (Boltzman's constant)    1.38064852 x 10-23 J K-1
R (Gas constant) 8.3144598 J mol-1 K-1
NA (Avogadro's number)      6.022140857 x 1023 mol-1
c (speed of light) 2.99792458 x 1010 cm s-1
ao (Bohr radius) 0.52917721067 Å
e (charge of electron) 1.6021766208 x 10-19 C

単位換算に便利なフリーソフトはないの?

以前紹介したGabeditというフリーソフトには、単位換算機能(ユニットコンバーター)が付属しています。計算化学の分野に必要な単位換算の機能が網羅されているのでおすすめです。
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おわりに

今回は、基本的な単位換算と物理定数について纏めてみました。Hartreeからkcal/mol (kJ/mol)やeVへの変換は頻繁に使用するので、このページをブックマークしておくと便利だと思います。また、ここで掲載した物理定数は量子化学計算で得られた結果を利用して、反応速度などを求める際によく使います。
ここにない物理定数や換算係数などは、NISTのPhysical Reference Data (物理定数検索)などから簡単に調べることができるので是非、活用してください。


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