Avogadro』は、GAMESS(Firefly, US, UK)、Gaussian、MOPACなどのインプットファイルの作成、一部の計算化学ソフトのアウトプットの読み込みが可能なフリーソフトです。
Firefly(PC GAMESS)のアウトプットの読み込みに対応していないのが残念ですが(GAMESS(US)は読込可)、MacMolPltにはないMM計算(分子力学法)ができたりします。また、Inputファイルの中身を見ながらパラメーター設定できるので、初心者にも分かりやすい設計になっています。
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今後、反応解析などで2分子以上のInputファイルを作成する際に便利なので、導入しておくことをおすすめします。Avogadroは、Windows, Mac両方に対応しています。操作画面はどちらも同じなので、ここではWindows画面で紹介していきます。

1) 入手とインストール方法

トップページ赤枠①Downloadを押すと、sourceforge.netからダウンロードが開始します。WindowsかMacかはブラウザで判断されるので選択する必要はありません。
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Windows, Mac両環境ともインストーラの指示に従えばインストール完了です。
Mac版では、操作画面が中途半端な日本語のため逆にわかりづらいかもしれません。もし、英語環境で使用したい場合はAvogadroのアプリケーションをcontrolボタンを押した状態でクリクして「パッケージ内容を表示」を選択します。あとは、Contents⁩>Resources⁩内の「ja.lproj」をフォルダごと削除すれば完了です。

2) 基本的な使い方

トップページ赤枠②Manualの所に詳しい使い方が書いてあるので、ここではよく使うメニューや操作に絞って紹介します。その他必要な箇所は、今後の記事で適時紹介していきます。
 

 ■分子構造描画
Avogadroを起動すると、ホーム画面から直ちに分子描画ができるようになっています。試しに水分子を描いてみましょう。
1) Draw SettingsのElement(赤枠①)からOxygenを選択し、黒色のView画面をクリックすると水分子が描けます。
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2) ツールバー赤枠②のペンマークで分子を描き、隣の星マークで描いた分子を移動させます。移動させる場合はWindowsならCtrキー、MacならCommandキーを押しながら分子を掴んで動かします。描画と移動のボタンを上手く使いわけましょう。
Element(赤枠①)で指定した原子に水素を付けたくない場合は、下にあるAdjust Hydrogensのチェックを外してください。また、直接3Dで分子モデルを組むのが難しいという方は、2Dの分子描画ソフト(Molvewなど)で書いたMOLファイル(拡張子.mol)等を読み込ませると良いでしょう。

 

 ■分子力学計算(MM法)
手動で作成した3Dモデルではどうしても、結合長、結合角などが不自然になってしまいます。モデルが複雑になればこれはより顕著です。分子力学計算は、古典力学を用い原子間のポテンシャルエネルギーのみを計算するので量子化学計算(ab initio計算)と比較すると精度は当然劣りますが、計算が非常に早いです。
量子化学計算を行う前に、分子力学計算を行っておくと不自然な結合長、結合角などがある程度改善されるため結果が速く求まることがあります。積極的に活用していきましょう。

1) ツールバーのを押すと分子力学計算ができます。今回は、Force Fieldを一般的なUFF(universal force field)のまま計算してみましょう。
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2) のStartを押すと計算が開始します。計算が終了すると、View画面に全ひずみエネルギー(それぞれの結合をバネのようなものとして扱い、最安定構造になった時に、もともと歪が全くかかっていなかったバネに対し、それぞれのバネにかかる歪エネルギーの総計)が表示されます。

3) ツールバーのを押して図りたい原子をクリックすると結合長と結合角が測定できます。View画面の下に表示される結合長と結合角を見ると、実験値にある程度近づいていることがわかります(左:計算前、右:計算後)。
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用いる分子力場の種類によっては、経験的パラメーターを持たない原子を含む系で計算できないことがあります。分子力学計算については、今後もう少し詳しく説明していきます。
 

 ■インプットファイル作成
Firefly(PC GAMESS), GAMESS(US)用のインプットファイルを作成します。
Firefly(PC GAMESS)とGAMESS(US)のインプットファイルの形式は同じですが、一部対応していない計算や対応していてもキーワードが異なるものがあります。Firefly(PC GAMESS)とGAMESS(US)の計算機能やキーワードの違いは今後説明します。

1) メニューバーのExtensions > GAMESS > Input Generator(赤枠⑥)を選択します。

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2) 表示されたサブウインド(GAMESS Input画面)の赤枠⑦で計算方法を指定をすると、の部分にInputファイルの内容が反映されます。
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3) ここでは、HF/6-31Gdの構造最適化計算を指定しています。後は、Generate(赤枠⑨)を押してInputファイル(.inp)を保存します。赤枠⑦にないキーワードは、Advance Setupのタブで設定できます。また、直接の欄にキーワードを入力する事も可能です。

3) おわりに

今回は、様々な計算化学ソフトに対応しているGUIソフト「Avogadro」の導入方法と基本的な使い方について説明しました。MacMolPltMoCalc2012と比較して一長一短といったところがあるので、これらソフトと併用していくと良いでしょう。また、Avogadro2という後継ソフトもあります。同サイトにあるソフトMoleQueueと連携することでGAMESSなどにJobを投げることができます。ただし、Avogadroと比べて機能が少なく現段階で導入するメリットはあまりないでしょう。今後のバージョンアップに期待したいところです。
先にも書きましたがAvogadroには他にも便利な機能がいくつかあるので、適時紹介していきます。

【関連記事】
Firefly(PC GAMESS) の入手とインストール方法 ~その①~
Firefly(PC GAMESS) の入手とインストール方法 ~その②~
GAMESS(US)の入手とインストール方法