今回紹介するCCCBDBは、計算化学のデータベースで最も有名で、とにかく情報量が多いのが特徴です。以前紹介したTSDBの様な遷移状態やPubChemQCの様な分子量の大きい化合物のデータは収録されていませんが、データの種類が非常に豊富です。
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1) どんなデータが利用できるの?

CCCBDB (Computational Chemistry Comparison and Benchmark Database)は、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)が運営するデータベースで1,799分子の実験値及び計算値が収録されています(2017年02月27日現在)。汎用な小分子は殆ど収録されています。
 

データの種類は多岐にわたりますが、主に以下のようなデータが収録されています。
■ 構造パラメータ(結合長, 結合角, 回転定数etc.)
■ 熱力学的諸量(エンタルピー, エントロピー, 熱容量 etc.)
■ 振動データ(振動強度、非調和性、スケーリングファクター、零点エネルギー etc.)
■ 静電力学(双極子モーメント、分極率、電荷(Muilken, ESP) etc.)

 

また、それぞれの計算値は様々な理論/基底関数の結果が収録されているのが特徴です。その他にも、各種ベンチマークや用語集、便利なツールなどが色々と閲覧できます。
 

2) 利用方法は?

トップページにアクセスすると、すべてのデータを無料で閲覧できます。とにかくデータの種類が多いので、ここでは「計算方法の違いに因る実験値との比較方法」を紹介します。
1) 左側のサブウインドのCalculated data(赤枠①) > Cartesians, bond lengths and angles(赤枠②)を選択すると検索窓が表示されますので、今回はHCl(塩化水素)を入力しSubmitボタンを押してみましょう。そうすると、各理論と基底関数で計算されたH-Clの結合長が表示されます。
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2) IV.D.1 Compare bonds, angles, or dihedrals(赤枠③)を押すと、実験値との比較ができます。
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実験値の結合長1.275Åに対し計算値は1.264〜1.354Åの範囲で、計算値が実験値よりも小さい場合は負側に黒色の棒線が、計算値が実験値より大きい場合は、正側に赤色の棒線で表示されています。計算方法を選択する際の参考にすると良いでしょう。
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また、各種イオン(カチオン、アニオン)や金属も検索できますので、基底関数にdiffuse関数(+やaug等)や分極関数(*やd,p,f等)のあるなしでどれだけ実験結果と乖離しているか見てみると面白いでしょう。(diffuse関数や分極関数についてはこちら)

別の記事(基底関数はどれを選べばいいの?)でCCCBDBを利用した様子を動画に纏めました。操作方法がわからない方は参考にしてください。


3) おわりに

CCCBDBは、無料で利用できる量子化学計算のデータベースでは最大級といってもいいでしょう。まだまだ、面白いデータが沢山閲覧できるので、時間がある方は色々探してみるのも面白いでしょう。
これまで紹介した国産のデータベース(TSDB, PubChemQC)と比較して、収録されているデータの種類が異なるので上手く使いわけていきましょう。
今後も引き続き量子化学計算に関するデータベースの紹介を行っていきます。