これまで入力ファイルは、AvogadroMacMolPltなどのGUIを使用して作成してきました。今後さらに高度な計算を行う上でも、Inputファイルに書かれている内容をまったく知らない訳にはいきません。
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とは言ってもInputファイルに使用するキーワードは、数100種類以上あるので全てを覚えるのは不可能です。キーワードそのものを覚えるのではなく、まずはInputファイルの“基本的な書き方”を覚えることが重要です。キーワードの文字列を忘れた場合や、特別なキーワードが必要になったらその都度付属の説明書を見ればいいのです。
ということで、今回はGAMESSのInputファイルの基本的な書き方について説明します。

※) Firefly(PC GAMESS), GAMESS(US)のInputファイルの基本的な書き方は同じです。ここで説明するのは共通する書き方(書式)の部分です。キーワードの大半は、両方で使用できますが一部異なる場合があります。
Firefly(PC GAMESS)とGAMESS(US)のキーワードの違いは少し古い資料になりますがこちらを参照してください。
Firefly-input-reference.pdf (赤色のテキストはFirefly固有です。それ以外はGAMESS(US)と共通で使用できます。)
今後、これらの違いについては適時説明していきますので初心者の方は詳しく見る必要はありません。

1) 基本は「$と$END」で囲む

以前紹介したAvogadroを使えば、Inputファイルの内容を確認しながらパラメーターの指定ができます。また、誤って入力した際も分かり易く表示してくれます。早速、水分子を描いてInput GeneratorからInputファイルを作成していきましょう。
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まずは最低この3つだけ覚えてください。
1) 各グループ(CONTRL, BASISなど)は「$と$END」で囲みます。
2) $の前は必ず半角スペースが必要です。
3) キーワードごとに半角スペースが必要です。

(例:□$CONTRL□SCFTYP=RHF□RUNTYP=ENERGY□$END (□が半角スペースです))

Avogadroの場合、1)と2)のルール違反があった場合、文字色が濃い青色から薄い灰色に変わります。3)に関しては何も教えてくれないので特に注意しましょう。
 

2) それでも間違えてしまった場合は?

GUIを通してInputを作成すれば、ほとんどエラーは出ないでしょう。しかし、GUIにないキーワードを直接テキストエディッタ等で入力する場合は、半角スペースの忘れやキーワードの文字列自体を誤って入力してしまうことがあります。
その場合は、エラーで計算が終了するのでOutputファイル(出力ファイル)からエラーの内容を確認します。
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Outputファイルをテキストエディッタで開き、最後の行を見ると”TERMINATED ABNORMALLY”と計算が異常終了したメッセージが表示されます(赤枠①)。
さらに、少し上の方に“ERROR READING INPUT GROUP $CONTRL”と$CONTRLグループで入力ミスがあるとのメッセージが出ています。ここではわざと、キーワード間の半角スペースを入力せずに計算を実行したので、そのことがエラーとして表示されているのがわかります(赤枠②)。
AvogadroMacMolPltで作成するInputファイルは、GAMESS(US)をベースにしているので、Fireflyで実行するとしばしばこのエラーメッセージに出くわすことがあります。その際は、エラーの内容を確認しキーワードがFireflyで対応しているか確認し、対応していない場合はキーワードを変える必要があります。
代替のキーワードを探すのが面倒な場合は、MoCalc2012MaSKなどのFirefly(PC GAMESS)専用のInputファイル作成ソフトを使うと良いでしょう。
 

3) 他に覚えることはあるの?

これで、GAMESSのInputファイルの基本的な書き方(書式)についてはマスターできたと言ってもいいでしょう。しかし、各グループ(BASIS, CONTRLなど)については今回はまったく触れませんでした。これらはGUI上で操作すれば何を意味しているのかが判ってくると思います。しかし、系統的に何を意味しているか知りたいですよね。
頻繁に使うキーワードは、数10種類といったところでしょう。キーワードの文字列をいちいち覚える必要はありませんが、頻繁に使うキーワードに関してはその意味を理解することで格段に効率が上がります。次回の中級編では各グループ(BASIS, CONTRLなど)について詳しく見ていきます。
 

4) おわりに

今回は、GAMESS(Firefly, US)のInputファイルの書き方について基本となる「$と$END」で囲むこと、$の前と各キーワード間に必ず半角スペースを用いることなどを述べました。また、Inputファイルの入力ミスによるエラーは、初心者がよく出会すエラーなので、Outputファイルのどこに出力されるか覚えておくと良いでしょう。
次回、中級編に続きます。

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