すべてのスマホで量子化学計算ができる時代の到来です!!しかも、制限はありますが無料で利用できます。今日はそんな『WebMO APP』というソフトの紹介です。
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1) WebMO APPってどんなアプリ?

「・・・ん?WebMO・・てもしかして?」と既にお気づきになった方もいるかと思いますが、種明かしをするとWebMOのクライアントアプリです。ちなみにご存知ない方のために説明すると、WebMO とは多くの計算化学パッケージを含むウェブインタフェースアプリケーションです。WebMO自体は2000年にリリースしているので、もすぐ20年近く経ちます(iOS版は2014年リリース)。Webブラウザが利用できる環境であれば、Windows, Mac, Linux / Unix, iOS, AndroidといったどのOSからもWebMOを利用することが可能です。
PC版はサーバーを構築するのが案外面倒なのですが、アプリ版ではインストールしたらすぐ利用できます。もちろん、計算はサーバー上で行うので、計算性能はスマートフォンの能力に依存しません。
 

2) 入手とインストール方法

iOS版はApp Store, Android版はGoogle Playからダウンロードします。また、WebMOのHPからもダウンロードサイトへ行くことができます。スマホだけでなくiPadやAndroidタブレットにも対応しています。
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3) 基本的な使い方

できることは、3次元での分子描画, 分子軌道の視覚化, 結合長・結合角の表示, 外部データベースから化合物情報の取得やサーバー上での分子軌道計算などです。また、計算した結果はPCへ移すこともできます。
ちなみに、無料版で使用できるのは9原子までです。9原子以上使いたい場合は、¥600の課金が必要です。
ここではiPhone画面を使って、水分子を用いた半経験的分子軌道計算の方法を紹介します。
※) 半経験的分子軌道計算(semi-empirical)についてはこちらの記事を参照してください。

1) アプリを立ち上げるとBuild画面が開くので、ツールバーのP-Tableで表示される周期表を使って化合物を描きます。描画した分子は、Cleanup >Geometryを使うと簡単に結合長や結合角を整えてくれます。
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2) 化合物が描けたら、下の方にあるWebMOボタンを押します。WebMO画面のツールバーからSubmitを押すと、画像②のようなMOPC(半経験的分子軌道計算パッケージ)の設定画面が表示されます。計算手法は半経験的分子軌道法 (AM1, PM3, PM6など)から選択できます。ここでは水分子を描いて、PM3の構造最適化計算をしてみましょう。設定が終わったら、矢印マーク(赤丸で囲った部分)を押し計算をスタートさせます。

3) 画面③が実際にサーバー上で計算を実行している様子です。黄色でRuningになっている部分が、緑色のCompleteになれば計算終了です。計算終了後、虫眼鏡マーク(赤丸で囲った部分)を押すと、最適化構造が描画されます。
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4) 得られた最適化構造を用いて、さらに同様の手順でMolecularOrbitalsを計算します。今度は、画面②のGeometry Optimaizationの所をMolecularOrbitalsに変えて計算するだけです。

5) MolecularOrbitalsの計算が終了したら、画面④のWebMO画面でツールバーからResultsを押すと、画面⑤へ遷移して結果の詳細が表示されます。赤丸で囲った虫眼鏡マークを押して水分子のHOMO(最高被占軌道)を描画させたのが画面⑥になります。

ちなみにWebブラウザからデモ用ページにアクセスすれば、スマホだけではなくPCからも試用ができます。Web版の詳細はこちらを参照してください。
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4) おわりに

今回はスマホから計算化学が行える、WebMO APPを紹介しました。スマホアプリは他にも、完全有料になりますがiSpartanというアプリアがあります(¥2400)。Spartanの機能をかなり限定したiOS版といった感じです。計算手法は、EDF2汎関数を使用した密度汎関数法(6-31G*)のみで、分子力学法はMMFFが使用可能です。
今後さらなるスマホの高性能化が進み、スマホ上でab initio計算ができる日もそう遠く無いかもしれません(遠い目)。

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