前回、GAMESS(US)の入手とインストール方法について述べました。今回は、実際の実行方法について説明します。それでは、Windows版とMac版それぞれについて説明していきます。
1) Windows版の実行方法
1) 64bit版(ver.Aug 18, 2016)について説明します。インストール場所を特別指定していない場合、C:\Users\Public\gamess-64にソフト本体があります。
上図の赤枠で囲ったWindows-Command-Promptを開いて「create-parameters.bat」と入力して Enter を押します。下図のよう“Finished rungms.gms parameter file”(青枠で囲った部分)と表示されれば、GAMESSがとりあえず使えるようになります。
2) 実行方法はいくつかありますが、ここではコマンドプロンプトのコマンドを使わずにできる一番簡単な方法を紹介します。まずInputsフォルダ①の中にあるファイル(exam01~44)を適当なフォルダを作成し、そこに移動します。
3) Inputsフォルダ①にMacMolPltやAvogadroで作成したinputファイルを入れ、double-click-run.bat②をダブルクリックすると以下のようなコマンドプロンプト画面が現れます。
計算が終了すると“Finished with GAMESS job submission”と表示されます。
計算が終了すると“Finished with GAMESS job submission”と表示されます。
後は、outputsフォルダ③に結果が出力されます。結果は、MacMolPltやAvogadro, MoCalc2012で可視化することができます。
※MoCalc2012は最新のVer. 3.1.1.1以降を導入していれば、GAMESS(US) Ver.Aug 18, 2016を実行することができます。それ以前のバージョンのMoCalc2012では実行できないので注意が必要です。
GAMESS(US)との連携方法はMoCalc2012の入手とインストール方法で説明したFireflyとの連携方法法と同様です。
※MoCalc2012は最新のVer. 3.1.1.1以降を導入していれば、GAMESS(US) Ver.Aug 18, 2016を実行することができます。それ以前のバージョンのMoCalc2012では実行できないので注意が必要です。
GAMESS(US)との連携方法はMoCalc2012の入手とインストール方法で説明したFireflyとの連携方法法と同様です。
2) Mac版の実行方法
1) 導入の際に書きましたが、私の環境では最新版(Aug 18, 2016)で色々不具合が生じたので旧バージョンを導入しました。ファイル名:gamess-OSX.May12013R1.x86.tar.gzの方です。ダウンロードしたファイルの中にGAMESSQというアプリケーションが入っているので、これを使ってGAMESS(US)を実行します。
2) GAMESSQを開く際に、「開発元が未確認のため開けません」と出る場合はControlキーを押しながらクリックし、出てきたサブメニューから「開く」を選択すると、警告のアナウンスとともに「開く」が選択可能になります。まずは、ツールバーのGAMESSQ >PreferencesからGAMESS(US)の実行ファイルがあるフォルダを指定します。
GAMESS Path(赤枠)の方にGAMESS(US)のあるフォルダを指定してください。Spoolの方は計算の一時ファイルの保存場所なので、そのままでOKです。
3) メイン画面のAddボタン(①)をクリックし、MacMolPltやAvogadroで作成したInputファイルを指定します。使用するコア数を尋ねるサブウインドウが表示されるので、使用可能なコア数を入力すると計算が開始されます。
注意!!: Inputファイルに日本語やスペースがある場合はGAMESSQを実行できないので注意が必要です。
画像では少し隠れてしまっていますが、赤枠のStatusの部分がPendingからDoneになれば計算終了です。終了した項目を選択して、Commandを押しながらクリックするとサブメニューが表示されます(②)。
既にMacMolPltをインストールしている場合は、「Open in wxMacMolPlt」から直接Outputファイルを MacMolPltで開くことができます。
GAMESSQが壊れて使用できませんというエラーメッセージが表示される場合は、以下のURLからGAMESSQを再ダウンロードしてください。Windows版もありますが、残念ながら不安定でほとんど使い物になりません。
3) おわりに
今回は、Windows版, Mac版両方のGAMESS(US)の実行方法を説明しました。 WindowsユーザーであればMoCalc2012と連携させて入力ファイルの作成から実行を行うと操作が楽でしょう。一方、MacユーザーはAvogadroの後継ソフトであるAvogadro2とMoleQueueを連携させると、入力ファイルの作成から実行までをGUI上で行なえますが、導入が非常に煩雑です。また、現在のAvogadro2は機能がまだ充実していないので、導入する労力を考えるとあまりおすすめできません。MacMolPltなどで作成した入力ファイルをGAMESSQで実行する方法が、今のところ一番シンプルだと思います。
Avogadro2との連携方法はもう少し機能が充実して、導入のメリットがありそうであれば記事にしたいと思います。
※) 当ブログの連載が書籍になりました!!興味がある方は、お手に取っていただければ幸いです!!
(Amazon購入ページ)(書籍の紹介記事)
【関連記事】
GAMESS(US)の入手とインストール方法
MoCalc2012の入手とインストール方法
Avogadro2との連携方法はもう少し機能が充実して、導入のメリットがありそうであれば記事にしたいと思います。
※) 当ブログの連載が書籍になりました!!興味がある方は、お手に取っていただければ幸いです!!
(Amazon購入ページ)(書籍の紹介記事)
【関連記事】
GAMESS(US)の入手とインストール方法
MoCalc2012の入手とインストール方法
コメント
コメント一覧 (9)
原因は何でしょうか?
どうも、このブログの管理人です。
AvogadroでGAMESSのOutputファイルを開く場合、ver.の違いなどで出力ファイルに想定
と異なるワードが多数行入るoutputファイルに対してエラーが出ることがあるみたいです。
古いGAMESS(US)のVerでは読み込めるんですが、最近のVerでは読み込みエラーが起こる
ことを確認しました。(Ver.5、ver.18)
代替としてwxMacMolPltを使用してみてください。グラフィカルな面では劣りますが、最新の
GAMESS(US)でもOutputファイルを開くことができます。
wxMacMolPlt
http://pc-chem-basics.blog.jp/archives/375821.html
先週ぐらいから、Windows7と10のpcにgamessを導入して、書籍通りavogadroで水分子を描いて、mocalc2012からgamessで計算しましたが、outputファイルが未完成で、計算ができていませんでした。
2日間自分のわかる範囲で、試しに試して、解決しないので、心が折れそうになりましたが、ネットで以下のファイルを見つけました。
https://www.msg.chem.iastate.edu/GAMESS/download/GAMESS-Windows-64-Bit-README-THEN-README-AGAIN.pdf
Microsoft-MPI (MS-MPI)をインストールすることでWindows7、10共に何の苦もなく計算することができました。
Windows版のみかもしれませんが、うまく動かない人もいるかもと思い、情報を展開させて頂きます。(不必要な情報なら、削除します。)
やっと設定が完了?したので、書籍を見ながら進めていこうと思います。
管理人さん、お願いです。電子書籍ではなく、紙の本が欲しいです。
この度は、書籍をご購入いただき誠にありがとうございます。
また、貴重な情報をお寄せいただき、感謝いたします。
1) MPIについて
MPIについては、標準で導入されていないPCについてのフォローが不明瞭で、ご不便をおかけしておりますことをお詫びいたします。
MPIの導入方法については、取り急ぎ、サポートページにて補足情報を掲載させて頂きます。また、改訂版では、本内容を追記する予定です。その際は、サポートページにて更新情報を掲載させていただきます。
2) 書籍について
電子版以外の書籍の出版については、思いの外、沢山の方からご要望を頂いており、現在いろいろな形で検討させて頂いております。来年の2021年中には、新たな書籍になるかもしれませんが、紙媒体での出版も予定しております。
その他にご不明な点などございましたら、書籍に記載のメールアドレスでも構いませんので、ご遠慮無くお問い合わせください。
今後とも宜しくお願いいたします。
何度も申し訳ございません。
このページを参考にGAMESS(US)を、double-click-runで計算しようとしたのですが
logファイルに以下のメッセージが表示されました。
Searching for restart files from a previous exam01 run.
None found.
Microsoft MPI (MS-MPI) will be running GAMESS on 1 node(s).
The binary will be kicked off by 'mpiexec' is gamess.2020.R2.pgiblas.exe
MS-MPI will run 1 compute process(es) and 1 data server(s).
もし原因がお分かりでしたらご教示頂けないでしょうか。
webで検索しても引っかからないので、私の環境のせいかもと考えております。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
MPI がインストールされてないためだと思います。
このページ中程のVer. June 30, 2019 R1の導入方法を参照してみてください。
http://pc-chem-basics.blog.jp/archives/22215903.html
書籍の発売おめでとうございます!
このサイトで私もプログラミングの基礎を勉強させて頂きました。
とても分かりやすくスムーズに進められたので、書籍の方も分かりやすく初心者でもスムーズに進められる内容となっていると期待されます。購入して手元に持っておきたいと思います。
昨日から相談させて頂いているGAMESSの件ですが、MPIをインストールしても解決しませんでした。
別のPCでも同様の現象が起きたので、GAMESSバージョンが関係しているでしょうか。
GAMESS 2020.R2を使用しています。
書籍の購入を検討いただきありがとうございます(*´ω`*)。
本書でもプログラミングを楽しんでいただければうれしいです。
さて、GAMESS(US)の件ですが…
他の方もVer. September 30, 2020 R2でMPI関連のエラーが出てるみたいです。
私は、真新しいアップデートはなかったので最近のVerはスキップしていました。
ですので、残念ながら試していません。
一度、アンインストールしてVer. June 30, 2019 R1で試してみたらどうでしょうか?
こちらでもるるるさんのお望みの計算はできますよ。
アドバンスドユーザーでない限り、過去のverでも全く問題無いと思います。
土日にも関わらず返信くださってありがとうございます。
ご助言通り過去のバージョンをインストールしたところ計算ができました。
こちらで運用してみたいと思います。お騒がせしました。
本当にありがとうございました。